コプト語/Coptic

 

資料的に跡づけられる時代だけで数千年に及ぶ歴史を有する偉大なるエジプト語(ヒエログリフ等で記された言語)、その最終段階に位置するのがコプト語です。以前はセム・ハム語族に属するとされ、最近ではアフロアジア語族に属すると分類されています。

コプト語と呼べる言語段階がいつ頃から始まったかについては様々な見方がありますが、紀元後1世紀以降エジプトに広まったキリスト教との関係が深く、現存するコプト語の著作は基本的にキリスト教関係(異端を含む)の著作だと言えます。他方もちろん、日常生活の中で使われる言わば非文学的な使用の例も、パピルスその他の出土資料によって数多く知られています。

コプト語の最後の文学作品が成立したのは14世紀のことで、現在ではコプト語はコプト教会の典礼の一部で使用されるにとどまり、日常生活では使われていません。

主な使用地域

 古代から中世にかけて、エジプトのデルタ地帯からナイル川河畔に至る広範な地域で使用されましたが、今日では使われていません。なお、地域ごとに異なった方言があり、それらに関する資料が残っている結果、方言間の詳細な比較が可能となっています。 

この言語の特徴(文字・発音・文法)

ヒエログリフ及びそれに由来する文字を使ってきた古代エジプト語のそれまでの歴史と異なり、コプト語の場合、基本的にギリシャ語アルファベットを借用し、ギリシャ語にない音については、古代エジプト語の文字を基に作られたいくつかの文字を追加する、という形で表記が行なわれます。文法は、インド・ヨーロッパ語の言語ともセム語の言語とも異なる独特なものです。語彙の面では、特にキリスト教関係の著作の場合ギリシャ語からの借用が大幅に行なわれているため、ギリシャ語の知識はコプト語読解の上で大いに役立ちます。

はじめて学ぶ方へ

上で見たように、コプト語で読める著作は主としてキリスト教(正統派も異端もあります)に関するもの、または、キリスト教の異端とみなされたこともあるマニ教に関するものです。キリスト教関係の著作としては、新約聖書の共観福音書と関係の深い『トマスによる福音書』が有名ですが、その他にも『マリアによる福音書』『ユダの福音書』など様々なものがあります。マニ教関係の著作としては『ケファライア』『講話』『詩篇』があり、特に『詩篇』は、マニ教徒たちの礼拝がどのように行なわれたかを垣間見る上で極めて興味深いものだと言えます。

コプト語は、古代ギリシャ・ローマ世界を、また特に古代キリスト教を、より立体的に把握するための重要な手がかりの一つだと言ってよいのではないでしょうか。

その他

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